院長ブログ

トレンターニ・レディオ

[医療・医学など]

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「トレンターニ・レディオ」というラジオ番組から取材の依頼を頂きました。番組はアラウンド30の女性をターゲットにしておられ、毎月の特集コーナーがあり、「子宮」に関する病気について紹介するので、電話インタビューに協力せよとのことでした。

今日の昼休みに番組中にお電話を頂き、「子宮筋腫」と「子宮内膜症」とについてキャスターの方からの質問にお答えしました。ご参考までに概要を御報告します。

RIOさん:「LIFE STYLE QUERY」のコーナー、今月は「婦人病」をピックアップしています。ここからは、「子宮」の病気について 詳しくお勉強していきましょう!

今週は、「子宮筋腫(しきゅうきんしゅ)」と「子宮内膜症(しきゅうないまくしょう)」についてご紹介します。

日本産科婦人科 内視鏡(ないしきょう)学会・理事長の 堤 治 (つつみ・おさむ) さんとお電話をつないで、詳しくお話しを伺いたいと思います!

堤さん、宜しくお願いします!

私:はい。よろしくおねがいします。

RIOさん:まずは・・・「子宮筋腫」からお伺いします。「子宮筋腫」はどのような病気ですか?

私:子宮は胎児を育てる袋のようなものですが、その壁は筋肉でできています。子宮筋腫はその壁からできる筋肉の塊、こぶのようなものです。女性ホルモンの働きによってできます。

RIOさん:かかった場合、自覚症状はありますか?

私:筋腫ができる場所にもよりますが、自覚症状がない場合が少なくありません。子宮の外の発育していくものがそれに該当します(図の3)。症状のある場合は、月経の量が増えて貧血になったり、生理痛がひどくなります(図1場合により2も)。

不妊症の原因にもなることがあります。

RIOさん:現在、どういう人たちに多い病気ですか?

私:三人に一人は子宮筋腫をもっているという位、よくある病気で、だれにでもできる可能性があります。

最近の傾向として、未婚未産の比較的若い女性に増えてきています。

RIOさん:治療法は? また、完治する病気ですか?

私:自覚症状がないものは特別な治療をしなくても大丈夫なものが多いです。症状があれば痛みどめや増血剤で対応します。ホルモン療法もありますが、多少副作用が問題になります。必要な時は手術療法を行います。その場合、できれば内視鏡による治療が望ましいと思います。

ラジオインタビューで図はお示しできませんでしたが、筋腫はできる場所によって3種類にわかれます。粘膜下筋腫や症状もでやすく治療を必要とすることが多いです。

2009年05月22日 23:43 [医療・医学など]

ラジオインタビュー続き(子宮内膜症)

[医療・医学など]

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RIOさん:では続いて「子宮内膜症」についてお伺いします。「子宮内膜症」は、どのような病気ですか?

私:子宮の内側にある子宮内膜という組織が、子宮以外の場所で発育するある意味不思議な病気です。チョコレート嚢腫といって卵巣が腫れる場合が少なくありません。

RIOさん:こちらは、自覚症状はありますか?

私:生理痛がだんだん強くなります。月経の時以外の腹痛や腰痛、頭痛を訴える人もあります。

不妊症の原因にもなります。

RIOさん:どういう人たちに多い病気ですか?

私:20代後半から30代の女性で、妊娠出産の経験のない方に多いということができます。

不妊症との関係も深く、腹腔鏡でお腹の中を調べるとおよそ50パーセントの方にみられます。

RIOさん:治療法は? また、完治する病気ですか?

生理痛には痛み止めを処方します。ピルを飲んでもらうこともあります。

私:偽閉経療法といって、ホルモン剤で月経をとめる方法もありますが、更年期症状などの副作用もあるのでむやみに繰り返すことはできません。

手術療法が必要になる場合もありますが、その場合は腹腔鏡をお勧めします。

手術で全部除去しても、数年後に再発する可能性はあります。

RIOさん:これら2つの病気、最近の傾向としては 増えているんでしょうか?

私:最近これらの月経に関連する病気が増えているのは間違いありません。その理由として、月経が始まる年齢が昔より低下したこと、妊娠、出産の高齢化によって、若い年代で月経を経験することが増えたことがあげられます。

(環境ホルモンの関与も指摘されています)

RIOさん:最後に・・・これらの病気の予防法として、普段から心がけられる事はありますか?

私:なかなか難しい質問ですが、「ご自分の健康や女性の体の仕組みにもっと関心を持って頂きたいと思います。」

「生理痛が強いときは生理だからと我慢しないで、医者に相談することも大事です。」など心がけて頂きたいと思います。

以上概要をお示ししましたが、私のブログをご覧の方には当たり前のことかもしれません。しかし一般の女性は意外に情報が乏しいので、「授かる」や「女性の病気と腹腔鏡」以外にもっと分かりやすいポイントを絞った本の企画も考えています。ご期待ください。

写真は子宮内膜症の腹腔鏡手術です。

2009年05月22日 23:43 [医療・医学など]

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