院長ブログ

環境ホルモン学会第19回講演会

[医療・医学など]

環境ホルモン学会の第19回講演会が江戸東京博物館で行われ、参加してまいりました。http://wwwsoc.nii.ac.jp/jsedr/kouen/index.html

普段はあまり気にかけることは少ないかもしれませんが、地球環境の汚染は大きな問題です。ダイオキシンに代表される人類が作り出した化学物質の相当数が、環境ホルモン(正しくは内分泌撹乱物質ないし内分泌攪乱化学物質)として作用し、野生動物では生殖異変を引き起こし、人類の未来になんらかの影響を与えると考えられます。

一方、最近の医学の話題として、developmental origins of health and disease (DOHaD)という概念が注目を集めています。メタボリック症候群を含め様々な成人期慢性疾患の発症基盤が胎児期の環境に関連するというのです。さらに胎児が胎内環境に応じて出生後の環境を見越したように適応し、出生後の環境とのミスマッチが生じた場合、健康状態が悪化するとされています。DOHaDの概念では、この影響が次世代を越えて3世代にわたることや、女性の健康問題を包括的にとらえようとしている点がユニークといえます。

環境ホルモンの人体への健康リスクやヒトの疾患との関係は不明な点が多いのですが、胎盤を通過して胎児へ移行することや、母乳中に高濃度に存在することが知られ、胎児期の環境に影響を与えることが危惧されています。胎児期被曝が児の性分化や生殖機能に影響を与えることが示唆され、DOHaDの概念に関連することが想定されます。今日の講演会では、DOHaDの専門家のお話と環境ホルモンの胎児期被曝の影響が主題で、大変勉強になりました。この問題にふたをしては、人類に明るい未来はないと思います。ご興味のある方はぜひ環境ホルモン学会にご参加ください。

講演会案内

2008年06月10日 23:44 [医療・医学など]

このページのTopへ戻る