院長ブログ

卵巣奇形腫

[医療・医学など]

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手塚治虫氏の医療を題材とした「ブラックジャック」にピノコというキャラクターがでてきます。卵巣奇形腫の手術をしたブラックジャックが腫瘍の部分・部分をつなぎ合わせてピノコを作った設定になっています。実際にはヒトをつくることはできませんが、奇形腫には皮膚、骨、歯、目、髪など様々な組織が含まれています。なぜできるか不思議に思いませんか。詳しい説明は抜きにして、卵巣の中にある、卵子がかってに分裂して様々な組織を発生させるのです。医学的には単為発生といいます。

卵巣奇形腫はけっして稀なものではありません。今日の手術も腹腔鏡下に奇形腫を摘出するものでした。奇形腫で思い出すのは、私が研修医の時、病棟医長の水口先生が奇形腫は卵巣摘出でなく、卵巣を残し、温存する核出手術をすべきだと指導くださったことです。その後30年以上その教えを守り、後輩にも指導しています。医学も日進月歩で、私が一つ付け加えたのは、腹腔鏡下手術ですべきだということです。日本産科婦人科内視鏡学会の理事長という立場にもあり、腹腔鏡の普及には努めておりますが、まだ道半ばという感もあります。

このブログをご覧の皆様には、卵巣奇形腫などの良性卵巣腫瘍には卵巣を温存する核出手術を腹腔鏡下におこなうことができるということを記憶にとどめ、なにかの節にはご友人にもお教え頂き、腹腔鏡下手術の普及にご協力頂ければ幸いです。写真は手術風景、皆がモニター画面に集中しています。

2008年06月21日 23:44 [医療・医学など]

関東連合

[医療・医学など]

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今日は午前中は外来、午後は「関東連合」に参加してきました。というとなんだそれは?と思われますね。正式には第115回日本産科婦人科学会関東連合地方部会で、関東地方の産婦人科医の学術集会です。今回は慶應義塾大学吉村泰典教授が大会長で、都市センターホテルを会場に開催されました。

アフタヌーンセミナーで対馬ルリ子先生が講演をされ、私は座長を務めました。女性医療といえば、対馬先生の名前が挙がる位高名な先生で皆さんご存知でしょう。実は先生は医学部卒業後、東大産婦人科で医師生活を開始され、私は研修医以来存じあげ、ご活躍を嬉しく拝見しています。

今日のテーマは「女性ホルモンで拓く女性医療の新時代」で、月経痛や子宮内膜症など女性特有の症状や疾患をどう診ていくか、長年の経験に基づいたお話を伺うことができました。特に最近子宮内膜症の治療薬として認可された低用量ピルの一種「ルナベル」の使用経験は、今後女性医療に携わるものにとって、明日から役に立つ大変貴重なお話でした。

写真は会場前の対馬先生と私。

2008年06月15日 23:47 [医療・医学など]

日本受精着床学会

[医療・医学など]

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今日は朝から夕方まで外来、合間に術前、術後の入院患者さんを診て、夜は日本受精着床学会の常務理事会に参加しました。連日の学会会議で大変ですが、全国各地から参集される役員の皆さんのご苦労からみれば、地元東京のものは文句を言うことはできません。

受精着床学会は「受精ならびに着床に関する研究を推進して、生殖学の発展に寄与し、人類の幸福に貢献する」目的で1982年設立されました。もう四半世紀前になりますが、信濃町の慶應大学で開催されたその準備会に参加したのを憶えています。http://www.jsfi.jp/index.html

私は編集担当で、邦文の学会雑誌(写真)と英文誌(RMB)に関係しています

2008年06月13日 23:49 [医療・医学など]

技術認定委員会

[医療・医学など]

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日本産科婦人科内視鏡学会の歴史は1973年に遡りますが、産婦人科領域の内視鏡の技術向上と安全な普及に努めてまいりました。事業の一つとして、技術認定制度を立ち上げております。その目的は、「産婦人科領域における内視鏡下手術に携わる医師の技術と知識を評価し、内視鏡下手術を安全かつ円滑に施行する者を認定し、本邦産婦人科領域における内視鏡下手術の発展と普及を促し、さらには国民の健康維持に寄与する」ことです。制度発足以来すでに5年が経過し、約200名が認定を受けています。

今日は技術認定委員会で、新規申請された方の合否判定で、先ほどまで白熱した議論をかわしていました。その結果は近い将来学会ホームぺージに公開します。主治医選びにも参考になると好評を頂いております。ご興味のある方はご覧ください。

学会サイト:http://square.umin.ac.jp/jsgoe/gaiyou_aisatsu.html

2008年06月12日 23:59 [医療・医学など]

環境ホルモン学会第19回講演会

[医療・医学など]

環境ホルモン学会の第19回講演会が江戸東京博物館で行われ、参加してまいりました。http://wwwsoc.nii.ac.jp/jsedr/kouen/index.html

普段はあまり気にかけることは少ないかもしれませんが、地球環境の汚染は大きな問題です。ダイオキシンに代表される人類が作り出した化学物質の相当数が、環境ホルモン(正しくは内分泌撹乱物質ないし内分泌攪乱化学物質)として作用し、野生動物では生殖異変を引き起こし、人類の未来になんらかの影響を与えると考えられます。

一方、最近の医学の話題として、developmental origins of health and disease (DOHaD)という概念が注目を集めています。メタボリック症候群を含め様々な成人期慢性疾患の発症基盤が胎児期の環境に関連するというのです。さらに胎児が胎内環境に応じて出生後の環境を見越したように適応し、出生後の環境とのミスマッチが生じた場合、健康状態が悪化するとされています。DOHaDの概念では、この影響が次世代を越えて3世代にわたることや、女性の健康問題を包括的にとらえようとしている点がユニークといえます。

環境ホルモンの人体への健康リスクやヒトの疾患との関係は不明な点が多いのですが、胎盤を通過して胎児へ移行することや、母乳中に高濃度に存在することが知られ、胎児期の環境に影響を与えることが危惧されています。胎児期被曝が児の性分化や生殖機能に影響を与えることが示唆され、DOHaDの概念に関連することが想定されます。今日の講演会では、DOHaDの専門家のお話と環境ホルモンの胎児期被曝の影響が主題で、大変勉強になりました。この問題にふたをしては、人類に明るい未来はないと思います。ご興味のある方はぜひ環境ホルモン学会にご参加ください。

講演会案内

2008年06月10日 23:44 [医療・医学など]

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