院長ブログ

フーナー(ヒューナー)テスト

[医療・医学など]

blog image
不妊症のテストの中にフーナーテストというのがあります。性交後テストともいわれ、図に示すように、性交の後に膣(1)と子宮の入り口(2)を調べて精子がいるか、いた場合元気に運動しているかをみるものです。このテストの注意として「精子は毎日造られていますが、満タンになるには4日位かかるので、4日は禁欲してください」と申し上げます。当日朝、性交して頂き、新鮮な精子の運動性をチェックするのです。ところが、説明の仕方が悪いのか、お聞きになる患者さんがうわのそらなのか、禁欲しっぱなしでこられる方がまれにいます。そういう時は普通精子はいなくて陰性と判断されますが、ごく稀にひくひくとわずかに動く精子をみつけることがあります。「復活の日」(草刈正雄・オリビアハッセー)ではありませんが、健気な精子には感動します。

余談ですが、このテスト、慶應大学系統の先生方はフーナーテストと呼ぶようです、東大系統の方はヒューナーテストといいます。山王病院は前任の井上先生が慶應のご出身でフーナーテストと標記しております。他の大学の先生方にお聞きしていませんし、フーナーかヒューナーでルーツをたどることはできません。あしからず。

2008年07月05日 22:48 [医療・医学など]

リプロダクティブヘルス・リプロダクティブライツ

[医療・医学など]

blog image
リプロダクティブヘルス・リプロダクティブライツという言葉があります。日本語ではなんと訳したらいいでしょうか。「生殖に関する健康・権利」といってもピンときませんね。まだ日本では定着した概念ではないのかもしれません。言葉は別としてわれわれは、その健康・権利を守り、女性が子どもを作りたいときに作れるように必要な場合は手助けをします。

リプロダクティブヘルス・リプロダクティブライツを守る手段として腹腔鏡という大きな武器があります。単にお腹を切らない、術後の痛みが少ないというだけでなくより精密な手術が可能になります。リプロダクティブヘルスを守る切り札ともいえますが、まだまだ普及が十分とはいえません。これはわれわれの努力が足らないところもありますが、多くの方々が腹腔鏡に対する理解が十分でなく、なにか危険なもののように思われているからかもしれません。社会が進歩し人間の心も変わるように、医療・医学も進歩します。腹腔鏡の安全な普及に役立っていけることが私の望みです。

今週も毎日腹腔鏡で頑張りました。明日も明後日も腹腔鏡です。

2008年06月26日 23:55 [医療・医学など]

子宮内膜症

[医療・医学など]

子宮内膜症は昔はまれな疾患といわれていました。最近では生殖年齢の女性の5-10%に見られ、不妊症とも関係し、若い人にも少なくなく、大きな問題となっています。

腹腔鏡下手術で治療することができるので、大勢の患者さんを診させてもらっています。今日も進行した4期子宮内膜症の腹腔鏡下手術でしたが、出血も少なくよい手術ができてホッとしているところです。

少年写真新聞に掲載されました。

2008年06月24日 23:57 [医療・医学など]

子宮筋腫

[医療・医学など]

blog image
子宮筋腫は女性の3人に1人はもっていると言われるくらい、多いものです。一昔前は筋腫は40代後半の女性が多く煩い、子宮全摘手術がよくおこなわれてきました。ところが、最近では、子宮筋腫の好発年齢も低下傾向にある中、いざ妊娠しようという時に子宮筋腫が発見されることが大変増えてきているように思います。また逆に、妊娠出産が子宮筋腫発生のリスクを下げるという報告もありますので、妊娠や出産年令があがれば、その前に子宮筋腫ができてくるということもありえます。子宮筋腫はアラウンドフォーティーあるいは不妊症と関連した疾患にシフトしつつあるということもできます。

子宮筋腫の保存手術(筋腫だけ切り取る筋腫核出術)にも腹腔鏡下手術が応用されます。私は、1キログラム、2キログラムまで大きくなった子宮筋腫の核出手術には腹腔鏡を利用した腹腔鏡補助下筋腫核出術をおこなっています。今日も若手医師に手術のコツを教えながら、実施しました。実は15年ほど前に考え付き、学会でも発表したものです。この手術、発案者は私であることを知る人は多くないかもしれませんが、徐々に普及してきており、独り微笑んでいます。

写真は子宮筋腫のMRI画像です。それほど大きくはありませんが、丸く骨盤の中を占拠しています。

2008年06月23日 23:53 [医療・医学など]

卵巣奇形腫

[医療・医学など]

blog image
手塚治虫氏の医療を題材とした「ブラックジャック」にピノコというキャラクターがでてきます。卵巣奇形腫の手術をしたブラックジャックが腫瘍の部分・部分をつなぎ合わせてピノコを作った設定になっています。実際にはヒトをつくることはできませんが、奇形腫には皮膚、骨、歯、目、髪など様々な組織が含まれています。なぜできるか不思議に思いませんか。詳しい説明は抜きにして、卵巣の中にある、卵子がかってに分裂して様々な組織を発生させるのです。医学的には単為発生といいます。

卵巣奇形腫はけっして稀なものではありません。今日の手術も腹腔鏡下に奇形腫を摘出するものでした。奇形腫で思い出すのは、私が研修医の時、病棟医長の水口先生が奇形腫は卵巣摘出でなく、卵巣を残し、温存する核出手術をすべきだと指導くださったことです。その後30年以上その教えを守り、後輩にも指導しています。医学も日進月歩で、私が一つ付け加えたのは、腹腔鏡下手術ですべきだということです。日本産科婦人科内視鏡学会の理事長という立場にもあり、腹腔鏡の普及には努めておりますが、まだ道半ばという感もあります。

このブログをご覧の皆様には、卵巣奇形腫などの良性卵巣腫瘍には卵巣を温存する核出手術を腹腔鏡下におこなうことができるということを記憶にとどめ、なにかの節にはご友人にもお教え頂き、腹腔鏡下手術の普及にご協力頂ければ幸いです。写真は手術風景、皆がモニター画面に集中しています。

2008年06月21日 23:44 [医療・医学など]

Prev   Next 

このページのTopへ戻る