院長ブログ

ビスフェノールA再び

[医療・医学など]

本日「ビスフェノールAがヒトの健康に与える影響について」厚生労働省から報道発表がありました。

http://www.mhlw.go.jp/houdou/2008/07/h0708-2.html

上記発表資料にはQ&Aもあり、「授乳期中の工夫として、他の材質(ガラス製など)のほ乳びんを使用することも選択肢のひとつと考えられます。」という表現も見られました。「ポリカーボネート製のほ乳瓶をお持ちの方は、製品の取扱説明書に記載されている使用上の注意をきちんと守って使用するように心がけてください。」ともあります。

ビスフェノールAは環境ホルモンとして働きをもち、大人はもちろん胎児も汚染することを私たちは明らかにし、警鐘を鳴らしてきたものです。様々な研究者が別々な仕事をしてもいつかは真実にいきつくのだとの思いは今年の5月14日にも述べたとおりです。

「環境生殖学入門」(2004年朝日出版社)で訴えた私の主張が認められ始めたともいえましょう。厚生労働省は今後も検討を進めるとのことで、我々の研究成果が少しでも役立つことを期待しています。

医薬食品局食品安全部7月8日 ビスフェノールA関連Q&A

2008年07月08日 23:57 [医療・医学など]

フーナー(ヒューナー)テスト

[医療・医学など]

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不妊症のテストの中にフーナーテストというのがあります。性交後テストともいわれ、図に示すように、性交の後に膣(1)と子宮の入り口(2)を調べて精子がいるか、いた場合元気に運動しているかをみるものです。このテストの注意として「精子は毎日造られていますが、満タンになるには4日位かかるので、4日は禁欲してください」と申し上げます。当日朝、性交して頂き、新鮮な精子の運動性をチェックするのです。ところが、説明の仕方が悪いのか、お聞きになる患者さんがうわのそらなのか、禁欲しっぱなしでこられる方がまれにいます。そういう時は普通精子はいなくて陰性と判断されますが、ごく稀にひくひくとわずかに動く精子をみつけることがあります。「復活の日」(草刈正雄・オリビアハッセー)ではありませんが、健気な精子には感動します。

余談ですが、このテスト、慶應大学系統の先生方はフーナーテストと呼ぶようです、東大系統の方はヒューナーテストといいます。山王病院は前任の井上先生が慶應のご出身でフーナーテストと標記しております。他の大学の先生方にお聞きしていませんし、フーナーかヒューナーでルーツをたどることはできません。あしからず。

2008年07月05日 22:48 [医療・医学など]

リプロダクティブヘルス・リプロダクティブライツ

[医療・医学など]

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リプロダクティブヘルス・リプロダクティブライツという言葉があります。日本語ではなんと訳したらいいでしょうか。「生殖に関する健康・権利」といってもピンときませんね。まだ日本では定着した概念ではないのかもしれません。言葉は別としてわれわれは、その健康・権利を守り、女性が子どもを作りたいときに作れるように必要な場合は手助けをします。

リプロダクティブヘルス・リプロダクティブライツを守る手段として腹腔鏡という大きな武器があります。単にお腹を切らない、術後の痛みが少ないというだけでなくより精密な手術が可能になります。リプロダクティブヘルスを守る切り札ともいえますが、まだまだ普及が十分とはいえません。これはわれわれの努力が足らないところもありますが、多くの方々が腹腔鏡に対する理解が十分でなく、なにか危険なもののように思われているからかもしれません。社会が進歩し人間の心も変わるように、医療・医学も進歩します。腹腔鏡の安全な普及に役立っていけることが私の望みです。

今週も毎日腹腔鏡で頑張りました。明日も明後日も腹腔鏡です。

2008年06月26日 23:55 [医療・医学など]

子宮内膜症

[医療・医学など]

子宮内膜症は昔はまれな疾患といわれていました。最近では生殖年齢の女性の5-10%に見られ、不妊症とも関係し、若い人にも少なくなく、大きな問題となっています。

腹腔鏡下手術で治療することができるので、大勢の患者さんを診させてもらっています。今日も進行した4期子宮内膜症の腹腔鏡下手術でしたが、出血も少なくよい手術ができてホッとしているところです。

少年写真新聞に掲載されました。

2008年06月24日 23:57 [医療・医学など]

子宮筋腫

[医療・医学など]

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子宮筋腫は女性の3人に1人はもっていると言われるくらい、多いものです。一昔前は筋腫は40代後半の女性が多く煩い、子宮全摘手術がよくおこなわれてきました。ところが、最近では、子宮筋腫の好発年齢も低下傾向にある中、いざ妊娠しようという時に子宮筋腫が発見されることが大変増えてきているように思います。また逆に、妊娠出産が子宮筋腫発生のリスクを下げるという報告もありますので、妊娠や出産年令があがれば、その前に子宮筋腫ができてくるということもありえます。子宮筋腫はアラウンドフォーティーあるいは不妊症と関連した疾患にシフトしつつあるということもできます。

子宮筋腫の保存手術(筋腫だけ切り取る筋腫核出術)にも腹腔鏡下手術が応用されます。私は、1キログラム、2キログラムまで大きくなった子宮筋腫の核出手術には腹腔鏡を利用した腹腔鏡補助下筋腫核出術をおこなっています。今日も若手医師に手術のコツを教えながら、実施しました。実は15年ほど前に考え付き、学会でも発表したものです。この手術、発案者は私であることを知る人は多くないかもしれませんが、徐々に普及してきており、独り微笑んでいます。

写真は子宮筋腫のMRI画像です。それほど大きくはありませんが、丸く骨盤の中を占拠しています。

2008年06月23日 23:53 [医療・医学など]

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