院長ブログ

腹腔鏡の父

[医療・医学など]

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音楽の父はバッハとかいろいろな領域で父や母と称される先人がいます。日本の産婦人科領域腹腔鏡手術の父は、チャールズ・コウといえると思います。1992年に来日腹腔鏡手術の講演や実技指導をしてくれたのが昨日のことのようです。その後、東大の手術室で難度の高い腹腔鏡手術を一緒にしたのも思い出です。他大学を含め大勢の見学者がインパクトを受け、日本における腹腔鏡普及の参るストーンになったものです。

コウさんは多忙の中今回の国際内視鏡外科学会にも参加頂き、久しぶりに記念写真を撮りました。向かって左のリーさんは私が理事長を勤めるAPAGE(アジアパシフィックの婦人科内視鏡学会)の創設に尽力し現在も事務局を勤めるいわば腹腔鏡の母です。

2008年09月03日 23:59 [医療・医学など]

第11回国際内視鏡外科学会

[医療・医学など]

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国際内視鏡外科学会は各国、各領域の内視鏡外科医が2年に一度一堂に集まる大きな学会です。今年は北野会長のもとに横浜国際会議場で今日から4日間開催されます。

本日のオープニングセレモニーには皇太子殿下のご行啓も賜り、流暢な英語のご挨拶に、ご自身の内視鏡によるポリープ切除の経験も語られました。患者さんの目線からのお言葉は大変説得力があり、参加者の心に残るものでした。

2008年09月02日 23:34 [医療・医学など]

第26回日本受精着床学会(福岡)

[医療・医学など]

日本受精着床学会(受着)の総会・学術講演会が田中温会長のもと福岡国際会議場で開催されております。常務理事会などがあり、私は27日から福岡に滞在中ですが、いつきても福岡は活気があるいい街だと思います。

本日の講演で特に注目を集めたのは、「実母による代理出産」(根津八紘氏)であったと思います。奥さんに子宮がないご夫婦が他人の子宮をかりて子どもをえる代理懐胎の実施は日本では公には認められていません。報告には61歳の実母による出産も含まれていました。

公式に認められていない治療を学会で取り上げることにも議論があるかもしれませんが、不妊症の患者さんを現場で診療にあたる医療関係者を中心とした学会が、代理懐胎の現状に目を向けることは意義があるといっていいでしょう。

生命倫理、生殖倫理には100人の人がいれば100とおりの考え方があると思われます。日本学術会議の答申を受けて法制化が進むことでしょうが、受着は生殖医療に携わる者の立場から発言していく必要もあると感じました。

関心のある方は、日本受精着床学会HP倫理委員会報告「非配偶者間における生殖補助医療の実施に関する見解と提言」をご参照ください。非配偶者間における生殖補助医療の実施に関する見解と提言

2008年08月29日 01:19 [医療・医学など]

「雨の三日も降ればよい」

[医療・医学など]

「○○殺すに刃物はいらぬ 雨の三日も降ればよい」という言葉がありました。○○が差別用語になっているかもしれないので略しましたが、屋外でおこなう仕事を日雇いでしていると、雨がふったらあがったりです。それにならえば、「医者を殺すに刃物はいらぬ患者さんの容態が三日も定まらねば」というところでしょう。なんとか祈りが通じますように。

それからみると些細なことですが、女性の病気と腹腔鏡に関する本を執筆中です。開腹手術は回避できることを広く皆様に知ってもらい、腹腔鏡の普及に役立てたいのですが、「もうおなかは切らない」というのか「まだおなかを切りますか」といった細かい「てにおは」で悩んでいます。よいアイデアがあったらお教えください。

2008年08月25日 23:52 [医療・医学など]

「逃亡者」

[医療・医学など]

子どもの頃「逃亡者」というアメリカの連続テレビドラマがありました。最近では、ハリソン・フォードを主役にしたハリウッド映画のリメイク版が話題を呼びましたから、ご記憶の方も多いと思います。

医師である主人公(確かデビット・ジャンセン演じるリチャード・キンブル)が無実の罪を着せられ、心ならずも逃亡者として、執拗な追っ手から逃げ回る、というストーリーでした。追いつめられながらも、主人公には医師としての義務感や正義感が習い性となっていて、より危険な目に遭いそうになるというのが毎回の山場だったのです。病気の人を救うためには、自分の素性が分かってしまうことも覚悟で医師として全力を尽くすのをハラハラとしてみていたものでした。

医師は患者さんのためによかれとベストを尽くすのが当たり前です。先日前置癒着胎盤の患者さんの手術にあたり、大変残念な結果になり、逮捕、起訴された産婦人科医の判決がでました。患者さんのご冥福をお祈りし、哀悼の意をささげたいと思います。担当医はしかし、患者さんの子宮を温存すべく最善を尽くされたと思われます。本件が有罪になっていたなら、困難かもしれない子宮の温存をはかるより、さっさと子宮を摘出したほうが医師にとっても安全な対応だと考える人もでてきたかもしれません。

リチャード・キンブルの喩えはよくないかもしれませんが、医師の習性として自分の安全より、患者さんにとってベストな治療を模索するからこそ、自分の仕事に誇りをもってあたれるのだと信じます。その意味でも、今回の判決が無罪であったことにホッとしますし、はやく無罪が確定してくれることを切望します。

2008年08月22日 23:45 [医療・医学など]

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