院長ブログ

子宮がん

[医療・医学など]

今日、日本テレビの夜のニュース(ニュース23)で子宮がんのワクチンを取り上げていました。そこで子宮がんについてひとこと。

子宮がんといっても大きくわけて二種類あります。子宮の出口(入り口?)付近にできる子宮頸がんと内腔(本体部分)にできる子宮体がんです。

頸がんは組織型(細胞の性質)でいうと扁平上皮がんが圧倒的 に多く、最近ヒトパピローマウイルスの感染との関係が注目されています。性交によりパピローマウイルスに感染(性感染症)し後年子宮頸がんを発症すると 考えられています。初交年令の低下により子宮頸がんの発症年令も低下し、未婚者や妊娠して発見される子宮頸がんの取り扱いが問題になっています。

体がんは子宮内膜由来の腺がんが多く、閉経前後の女性に好発します。エストロゲン依存性疾患であり、リスク因子として高血圧、肥満、耐糖能異常、高脂血症等があげら れます。生活習慣病の一種とも考えることができます。

ワクチンは今年中には日本でも利用できる見通しのようですが、パピローマウイルスに対するもので、頸がんを予防するものです。10代の女性に投与して、将来のがん発生を抑制してくれると期待できます。

現在20代以上の方は年に一回の子宮がん検診で予防できます。山王病院でもできますので、ご相談ください。初診の方で検査を受けていない方には検診もお勧めしております。

2009年06月10日 23:59 [医療・医学など]

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墜落産(墜落分娩)という言葉は辞書には載っていませんが、産科関係者なら知っているはずです。分娩の進行が早く、自宅や分娩施設に向かう途中でお産になってしまう場合です。難産を経験した方には信じられないでしょうが、トイレでいきんだら赤ちゃんがでてきたという話もあります。

墜落産を予防するには、陣痛が始まってから飛んできたのでは間に合わないことがあります。そうなりそうな患者さんには予め入院してもらうのが一番です。最近も、陣痛か?と思ったら1時間でお産になって入院しておいてもらってよかったと胸をなでおろした経験をしました。

2009年06月05日 22:37 [医療・医学など]

産科婦人科医

[医療・医学など]

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産科婦人科医が全国的に不足しているのは社会の問題ですね。大変な仕事ではありますが、医学の中でもやりがいのある科ですから、今が底だと思っています。よく知れば産科婦人科が生きがいだと思う人は少なくないので、魅力をアピールしていくことも大事ですね。

なぜ産科婦人科医になったかと聞かれることがあります。一行では答えられませんが、一言でいえば、「生命の誕生にかかわり、立ち会えること」でしょう。

産科婦人科医をしていてとても辛いこともあります。今度こそ妊娠されたかと期待した患者さんが残念ながら月経が来てしまった時がそれです。それと、ようやく妊娠された患者さんが不幸にして流産してしまった時です。

気持ちを立てなおして頑張ろうとするのですが、それに気づいた患者さんにかえって慰められることもあります。本当に何年たっても何歳になっても患者さんには教えられ、育てて頂き日々感謝しています。

2009年06月03日 23:59 [医療・医学など]

続々帝王切開

[医療・医学など]

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先日、前回帝王切開の取り扱い方をブログに記しました。該当する患者さんもご覧になってよくわかったとおっしゃってくださいました。

前回帝王切開で、今回も帝王切開をしようとお腹をあけて子宮をみると子宮の筋肉が薄くなって、赤ちゃんが透けてみえることがあります。そんなときは、つくづく帝王切開を選択してよかったとホッとします。

つい最近、子宮の壁が薄いというより欠損していて、セロファンのような膜の向こうに赤ちゃんの髪の一本一本がはっきり見える前回帝王切開を経験しました。通常は子宮はメスで切開するのですが、とっさにメスをとらず、鉗子で触ったところ孔があき、そこを拡げて無事赤ちゃんを出産することができました。

お母さんも、赤ちゃんもお元気で、予定日より早めに帝王切開してよかったと胸をなでおろしました。

2009年05月25日 23:47 [医療・医学など]

ラジオインタビュー続き(子宮内膜症)

[医療・医学など]

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RIOさん:では続いて「子宮内膜症」についてお伺いします。「子宮内膜症」は、どのような病気ですか?

私:子宮の内側にある子宮内膜という組織が、子宮以外の場所で発育するある意味不思議な病気です。チョコレート嚢腫といって卵巣が腫れる場合が少なくありません。

RIOさん:こちらは、自覚症状はありますか?

私:生理痛がだんだん強くなります。月経の時以外の腹痛や腰痛、頭痛を訴える人もあります。

不妊症の原因にもなります。

RIOさん:どういう人たちに多い病気ですか?

私:20代後半から30代の女性で、妊娠出産の経験のない方に多いということができます。

不妊症との関係も深く、腹腔鏡でお腹の中を調べるとおよそ50パーセントの方にみられます。

RIOさん:治療法は? また、完治する病気ですか?

生理痛には痛み止めを処方します。ピルを飲んでもらうこともあります。

私:偽閉経療法といって、ホルモン剤で月経をとめる方法もありますが、更年期症状などの副作用もあるのでむやみに繰り返すことはできません。

手術療法が必要になる場合もありますが、その場合は腹腔鏡をお勧めします。

手術で全部除去しても、数年後に再発する可能性はあります。

RIOさん:これら2つの病気、最近の傾向としては 増えているんでしょうか?

私:最近これらの月経に関連する病気が増えているのは間違いありません。その理由として、月経が始まる年齢が昔より低下したこと、妊娠、出産の高齢化によって、若い年代で月経を経験することが増えたことがあげられます。

(環境ホルモンの関与も指摘されています)

RIOさん:最後に・・・これらの病気の予防法として、普段から心がけられる事はありますか?

私:なかなか難しい質問ですが、「ご自分の健康や女性の体の仕組みにもっと関心を持って頂きたいと思います。」

「生理痛が強いときは生理だからと我慢しないで、医者に相談することも大事です。」など心がけて頂きたいと思います。

以上概要をお示ししましたが、私のブログをご覧の方には当たり前のことかもしれません。しかし一般の女性は意外に情報が乏しいので、「授かる」や「女性の病気と腹腔鏡」以外にもっと分かりやすいポイントを絞った本の企画も考えています。ご期待ください。

写真は子宮内膜症の腹腔鏡手術です。

2009年05月22日 23:43 [医療・医学など]

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