院長ブログ

12月12日讀賣夕刊

[医療・医学など]

本日の讀賣夕刊15ページに興味深いというか、自分の医師としての行き方を考えさせる記事があったので、紹介、引用させてもらいます。

「メスはさびても」13というコラムあるいはコーナーでしたので、外科系医師出身の方が連続して担当されているのだろうと思いました。見出しは「医師の説明が悲観的なワケ」で、内容のおおよその見当は読む前からつきました。昨今の医療は防衛的あるいは萎縮的と表現されるように、医師の患者さんへの説明には最悪の結果も想定した悲観的な面が強調されることがありえます。筆者久坂部羊氏もコラムの中で、「さほど危険な手術でなかったが、説明した医師が厳しく、絶望的な話をするのがなぜかわからなかった」という主旨のことを書いておられました。結論としては、楽観的でも悲観的でもない「ほんとうのところ」を説明できればいいのだが、その幅が広いので、困るわけだと結んでおられます。全文を引用するわけにもいきませんが、研修医時代の体験を、人を引き込む筆致で語っていますので、ご興味ある方は讀賣紙面をご覧ください。

毎日患者さんに病状や手術について説明するわが身にかえって考えてみると、自分の性格や人生観、過去の体験にもよるのか、楽観的な見方からお話を初め、患者さんの理解と信頼を得られてから悲観的なことも最小限はお話しているように思います。患者さんの立場に立つと、同じ事を説明されても、受け止め方は大きく違います。まして実際の治療法の選択となると、「ほんとうのところ」の大切さは切実です。拙著『授かる』にも書きましたが、妊娠を希望しながら、子宮全摘を勧められるかたも決して少なくはありません。

http://www.dr-tsutsumi.jp/gyne_sick/myoma_report.php

実は今日もそのような相談を受けました。

患者さんのリスクは医師のリスクでもあります。それをともに背負って、先の『授かる』の患者さんのように無事お子さんをもつ方をお世話できるのは、産婦人科医として最も幸いなことです。自分があの時勇気をだして頑張らなければ、生まれていなかったかもしれないという子どもの成長をかげながら見守らせてもらえるのは、生殖医療に携わるものの醍醐味です。記事を拝見して自分もまだまだ前向きに頑張るぞと思った次第です。

今産婦人科医になる人が少ないことが社会問題にもなっていますが、こんなに素晴らしいやりがいのある産婦人科へ大勢の方が志してくださることを期待します。

2008年12月12日 23:41 [医療・医学など]

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