院長ブログ

卵子提供

[医療・医学など]

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不妊治療にご夫婦以外の第三者から提供された精子・卵子を使ったいわゆる非配偶者間体外受精は、多くの国々では実施されていますが、日本では議論の段階でした。先日、日本生殖医学会はこれを認める方針を示し、兄弟姉妹や友人からの精子・卵子提供も含めた実施条件を策定すると発表しました。

画期的なことですが、非配偶者間の体外受精は、厚生労働省が2003年、「匿名の第三者」に限り認める報告書出しましたが、法制化は進んでおらず、日本産科婦人科学会は慎重な立場を変えていません。従って、一般臨床にすぐにとりいれられるかは、まだ明らかでなく、議論がいるかもしれません。

このことは大きな問題で、以前拙著「授かるー不妊治療とこどもをもつこと」でもとりあげ、日本の現状や卵子がないために妊娠できない21歳の女性のケースレポートも載せました。その折、患者さん自身から「知らない人の卵子よりは、一人の女性、人間として尊敬できる姉の卵子で子どもをうみたい」というお手紙を頂きました。

患者さんのお気持ちにそいたいという思いや、患者さん自身の言葉はいつも心にあり、一日も早く患者さんも社会も納得できる法整備が望まれるところです。症例の詳細は「授かる」305から306ページと371から372ページをご覧ください。

図は讀賣新聞HP「卵子提供」より。

2008年12月15日 23:19 [医療・医学など]

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