院長ブログ

ビスフェノールA

[医療・医学など]

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「ビスフェノールA基準以下でも胎児に影響」という記事を目にしました。

「プラスチック製品の原料になる化学物質ビスフェノールAが、現行の安全基準以下でも胎児や新生児に影響を与えることを国立医薬品食品衛生研究所(衛生研)などがラット実験で確認した。厚生労働省はこのデータを踏まえ、内閣府の食品安全委員会に評価を諮問する検討に入った。」と毎日新聞が伝えました。米政府もこの4月、「胎児や子供の神経系や行動に影響を与えたり、女子の早熟を引き起こす恐れがある」とする報告書をまとめています。

ビスフェノールAは私たちもこの10年研究を続けてきたもので、様々な研究者が別々な仕事をしてもいつかは真実にいきつくのだとの思いを深くしました。だから科学サイエンスは面白い。上記研究は母ねずみにビスフェノールAを与えて子どもへの影響をみたものです。私たちの研究では受精卵(初期胚)の時にも作用するという成績やヒトの臍帯や羊水にも相当濃度に検出されることがわかっています。世界的な雑誌に報告してきたことは、このホームページの業績欄でもお分かり頂けると思います。拙著「環境生殖学入門」でもビスフェノールAのことを詳しく説明していますのでご参照ください。

関連告知ですが、環境ホルモン学会(日本内分泌撹乱化学物質学会 http://wwwsoc.nii.ac.jp/jsedr/)は、

環境ホルモンの研究に関する情報交換や成果の発表の場として、1998年6月に発足した学会です。「胎生期環境と遺伝子の相互作用からみた疾病素因の形成」をテーマに第19回講演会を6月10日東京江戸博物館で開催します。ご興味ある方はぜひご参加ください。

2008年05月14日 22:22 [医療・医学など]

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